2020.10.16
通知表のない伊那小学校を知ろう
第一部 対談 苫野先生と考える伊那小学校の教育
  伊那市移住定住相談室 伊藤さん
  熊本大学 苫野一徳 先生
  伊那小学校 校長 福田 弘彦 先生  
苫野 探究とは何か
 今の教育界では重要なキーワード
 
 伊那小、パイオニア的存在
 
哲学を研究
 哲学の本質は、「本質洞察に基づく原理の提示」
  教育の本質とは
   どのような教育をしたらいいか提言してきた
  軽井沢風越学園の設立にもかかわる

そもそも教育とは、何のために存在しているのか?
  「自由の相互承認」の感度を育むことを土台に
  「自由」に生きるための力を育むため

     生きたいように生きられる
     そのためには他者も自由
  
戦争の末に
   公教育・民主主義


公教育が保証できなくなっている
  不登校、いじめ、体罰、小1プロブレム
  落ちこぼれ・吹きこぼれ、同調圧力、
  空気を読み合う人間関係、コロナ 等

15年間 変わらない学校システム
  みんなで同じことを、同じペースで、同じようなやり方で
  同質性の高い、学年学級性の中で
  出来合いの答えを勉強する
  ベルトコンベアー型のシステム
      
 ●落ちこぼれ・吹きこぼれ問題
 ●いじめ、不登校、空気を読み合う人間関係の問題
 ●コロナによって、その脆弱性、不可能性を露呈

 
がんじがらめの仕組みの中で設計されている
 同質性が高いとギスギスする


「公教育の構造転換」へ
     
 学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合

探究をカリキュラムの中核に
 自分たちなりの問いを立て、自分たちなりの仕方で
 自分たちなりの答えにたどり着く学び
 「探究型の学び」」
     
 「答えを持っている教師」から
 「共同探究者」「探究支援者」としての教師へ

「探究」とは何か
 ①探究
  「探究とは不確実な状況を確定した状況へと(略)
   転換することである。」(経験/人生それ自体)
   デューイ『論理学―探究の理論』
 ②プロジェクト
  「全精神を打ち込んだ目的ある活動」
   キルパトリック『プロジェクト・メソッド』
 ③探究型(プロジェクト型)の学び
  「自分たちなりの問いを立て、自分たちなりの仕方で
   自分たちなりの答えにたどり着く学び」
   苫野『「学校」をつくり直す』

なぜ「探究」か?
  ・予測不能な時代、VUCAの時代ねポスト産業主義時代・・等
  ・「出来合いの答え」をテストし、序列化する弊害
    テストのために覚えたことの90%は忘れられてしまう。
    「やらされる勉強」「点数評価される勉強」は、
    できるだけ省エネしていい点数を取るマインドを生み出し、
    主体的で深い学びへ向かうマインドを失わせてしまう
    アルフィ・コーン『報酬主義をこえて』
  ・そうした学びが幸せな人生に結びつくという神話は、
    すでにほとんど崩壊している

   
大量生産・大量消費時代ではない
    上質で均一の労働者を育てるにはよかった


  ・「落ちこぼれ」問題の解消(学びの意義の実態)
    Cf.High Tech High(半数が貧困層)
  ⇒テスト勉強一切なしだが、州のテストの平均を大幅に上回る
  ⇒98%の大学進学率
  ⇒映画「Most Likely to Succeed」

  ・生き生きした学び、受験学力の向上、地域の魅力化
   伊那小、きのくに子どもの村学園、堀川高校、隠岐島前高校

ただの理想像? 現実には無理?
 「公教育の構造転換」は、すでに世界中で始まっている
   イエナプラン教育、広島県、名古屋市
   軽井沢風越学園、千代田区立麹町中学校
   そして大先輩の伊那小学校
   
伊那小は歴史が違う

 まずは知ることから  
   人間が作ったシステムなのだから人間が変えられる
  
実践知を全国に実装していく時
  
福田 児童の姿から
 毎年2月に公開研究会を実施
  全国各地からリピーターが多い
    この子どもたちにもう一度会いたい
    ひたむきな心打たれ また元気をもらいたいと
  参会者がたまたま近くにいた子どもから
    自分の学級で取り組んでいる総合について、
    これまでの活動の、それこそ目を輝かせて
    誇らしげに語る姿に感動した という話をたびたび聞く
  公開研究会のためにあるのではないが、このことも
    伊那小の子どもが学校を心ゆく生活の場として、
    日々過ごしていることの現われ

先生方の姿
  先生たちの存在
    子ども達の自ら育つ姿、内面から育つ姿を
    支えている大きなものの一つ
    子ども達の思いに寄り添い、その願いを
    実現していくための手助けをしていく先生たち
    大変な努力をしている

  題材を決め出しをする先生たち 
    子ども一人一人の願いをどうとらえたらいいか
    それらを重ねていって学級集団としての追究が
    価値ある学習とするために、
    どのような題材に、ともにとりくんでいったら良いのか、
    頭を悩ましている
  
    子どもが教室に持ち込んでくるもの
    子どもが書いてくる日記
    学習カード 等の記述
    子どもの日常での発言やつぶやき 等
    学級の総合のきっかけとなる
    一つ一つを丁寧に大切に受け止めている
    
    実際に遊んだり、やってみたりという
    直接経験を重ねていく中で
    やがて子どもたちが
    自ずと学級の総合の題材をきめ出していく

   
 学級ごとに一年間を見通した学級カリキュラムを作成
   総合の題材を中心に据え、
   子ども達が学んでいくであろう道筋に応じて
   学習指導要領に定められたその学年の学習内容を配置した
   その学級独自の年間活動計画となる
   子どもの今日も・関心や学ぶ意欲を大切にしながら
   学習を展開していくことを大切にしたいと考える現われの一つ

   一人一人の顔を思い浮かべ、学級の進む方向を予測しながら作成
   子ども達の求めや活動の実際に応じて、手直しをしながら
   日々の授業を作り上げている

  伊那小出会からこその先生たちの取り組みである
  自ら育つ、内から育つ子どもを支えている要因

保護者・地域の皆様の在り様
  そのまま伊那小の応援団
  動物飼育に取り組みたいというと、一般的には
   様々な心配の声、安心・安全にかかわる質問、
   休日の当番活動にかかわる心配の声 等が、多数、寄せられる
   
 伊那小学校では、上の学年に子どものいる保護者が
   初めての保護者に
   「大丈夫ですよ。みんなで協力していくし。
   伊那小でなければ経験したり、学んだりすることがたくさんあるんだから」等と
   伝え合い、子ども達の決定や学級の総合を支えてくれている
  
 地域の皆様も
   学習に使う素材や道具、田畑、林や空き地 等、学習の場
   得意分野を持っている人は外部講師として、
   子ども達を温かく支えてくれている
   多くの人が伊那小の卒業生であり、伊那小で学んだことのよさを感じている
   伊那小の子ども達を心から大切に思っている

 保護者・地域の皆さんの理解・支援があっての伊那小

 教師・保護者地域の皆さんの努力と支援に支えられている  

教師は学ばないといけないのか
 
伊那小学校の捉え方
   管理職も含めて、毎年転出入がある
   子ども観について
    自ら求め、自ら決め出し、自ら動き出す力をもった存在である
   として言い伝えられている。共通理解し、実感しているのは先生方 
   着任すると戸惑いがある。先生が、確かめながら、実感しながら
   子ども姿から自分のものとしている。
   トップダウンではない。 先生が捉えていることが引き継がれている。

苫野 いい学校には共通していることがある
  対話の文化ができている
  学校文化の継承ができている

教育の基本中の基本は
  信頼して、任せて、待って、支える

  多くの学校では、時間に追われ、やることが決まっていて、
  スケジュールに追われている。
  仕組みがそうなっている。構造を変えていかないといけない
  教育の基本に立ち戻る

地域と共にある学校
  社会に拓かれた教育課程
  開かれた学校
  学校が学校の中だけで完結するのは難しい
  良い探究が行われている学校は
  地域のネットワークに支えられた学校

  同質性が高い学校から、市民社会として担保される
  子ども達の学びだけでなく、みんなが学べる魅力的な場
  地域の人も学べる
  ゲストティーチャーとしても学べる学びがある  
  学びがマグマのように噴き出す
  閉じていたらできない
福田 地域をあげて支えてくれている
 伊那小を理解している人だけではない
 祖父母の次代から伊那小の方もいる
 包み込むように伝えてくれている
 学校を地域・保護者が一体となって支えてくれている
 
苫野 なぜ伊那小学校がなぜできているかを分析し、広げたい
 ・対話の文化
 ・子どもへの信頼
 ・経験値、手ごたえ 
 ・子どもたちからの学びからスタートするとこんな姿になると実感している 等
 
福田 学習の大切さを感じている人は増えている
 長野県全体でも地道に取り組んでいる手ごたえがある 

伊那中出の様子(伊那中校長先生の話)
 伊那小出身の子ども達は困難に出会った時
  乗り越えていこうとする、追究の姿を感じている
 新しい学習に取り組む時
  自分で切り拓いて、自分の意欲を大事にして学んでいる姿がいい

ペーパーで測る学力は、ふさわしくないところもある
苫野 大学入試
 半分がAO 
 探究に適合したものに変わっていく
 探究中心のカリキュラムで学んでくると受験学力も向上する
 
 小学校の時に学びってこんなに楽しいというマインドで
   6年間過ごした子
 こんな李おもしろくないのになぜやらないといけないのといって
   学んだ子
 伸び方が大きく異なる
 
学びは楽しいとぞってきた子は、
 人から与えられるものではなく、
 学びは自分で取り込んでいくものとなっていく
 満足した人生になっている
 
 学びのあり方の意義が問われていく時代に
 
福田 伊那中学校におけるアンケート
 
「伊那小学校で学んで、印象的な学びをしてこれた。」
 「生き方そのものを支えてくれています。」
 という感想
苫野 学びが本当はめちゃくちゃ楽しい
 知らなかったことがわかる
 成長を実感する
 仲間と一緒に何かを成し遂げた
 学校って世界一楽しい場
 豊かな学びを創っている
福田 子どものたちのイキイキした姿に支えられている
 
伊那出身 唐木順三の著作を学んでいる
第二部  伊那小座談会
  「私たちが伊那小学校で得たこと」
  前半 OB座談会
   参加者
    20代 はなしばさん
    40代 くまさん
    50代 高橋さん
はなしば  じっとしているのは得意でなかった
 屋外での活動 
  計算を実践的にやった
くま 4年生の時、総合で紙
  パピルスをとりよせ紙づくり
  吉村作治さんとの交流
  テレビ『なるほどザ ワールド』に出演
  いろいろな体験

実際に動物を飼う
  生死について知る

課題が出た時に、
  自分で何とかやれるようなことがあることを学ぶ
高橋 通知表
  大人が決めたラインで評価されてしまう
  自分でレッテルを貼ってしまいがち

子どもは学校でヤギ、羊を飼った
  一人一人の役割ができている
  持ち味を生かして活躍している
はなしば いろいろな分野で得意なことがあった
 いろいろな分野の中の一つに勉強という分野がある

はじめて通知表をもらった時
 これが噂の通知表かと感じた

くま 通知表はないがテストはある
 感情は豊かになった
 自由に育ててもらったんだと感じる

自分で切り開く、考えて解決すに導くことの土台を作ってもらえた
高橋 子供一人一人の成長の度合いが違う
 一律に評価するべきではない

成長速度の違う保育ができる

懇談会で充分評価を伝えてもらってている


はなしば 小3のころ、湧き水の森で、ヤゴからオニヤンマになるのを
ずっと見ていた
ずっと見ている経験はなかった
珍しいこと
大学で先生にその話をした
自分の文化になっている
くま 日々つながれない人とつながった
卒業しても喜んでもらえた

人との付き合い円滑になるソースに
のびのびと育ててもらった
性格がいい人が多い
高橋 給食後、チャイムが鳴らなくてずっと遊んでいた
 気付くと、周りに誰もいない
 気付く瞬間がある
 
周りを見て気付ける力がついた
はなしば 周りをみて、この中で足りないものは何か 気付けるようになった
くま 伊那小を卒業してよかったという自負がある

小さい頃の体験、大事
  押し付けられるのではなく、心が豊かになった
 
高橋 伊那小でよかった
 
人生の基礎、生きるための力を付けてもらった
第二部  伊那小座談会
  「私たちが伊那小学校で得たこと」
  後半 保護者座談会
   参加者
    れいさん   三代にわたって伊那小
    まいこさん  学区に住んでいる
    しろくまさん 首都圏から転居してきた
    
まいこ 子ども達は、当たり前
  総合も。勉強も大好き
しろくま 伊那小ツアーに参加して移住を決意
  最初は、自由過ぎで困った
  子どもの方が慣れるのは早かった
れい 中一の子ども
 「中学と比べて自由だった」と語る
 自分たちでいろいろなことを解決していた
 自分で判断しているように思う

 多数決ではなくて、聞ける環境を作っている
   20対2でも、意見をプレゼン
   聞く力もついている
しろくま 思った以上に勉強をやっている
 宿題も出ている
れい 昔より宿題が多くなっている
  ドリル・漢字

通知表がなくても、懇談会等でいろいろな資料でお知らせ
 先生との距離が近い
 毎日、学級通信が出ている
 学校の様子を共有できている感じがする

子どもが育っているか、身に付けているか
  親が日常の風景と学校の姿で捉えていて納得している
まいこ 先生と話ができている
 細かく総合的に知ることができて、安心
れい 今、学校は、決められたことをやりすぎ
 子どもが米作りで、大人の読む本を読んでいた
 低学年では難しい漢字が入っていたが読んでいた
 学びとして自由
しろくま 何か決める時に多数決ではない
 いくつかの案に絞ったあと、プレゼン
 大人の社会でやるようなことをやっている

宿題も自己責任
 自分でできるようになっている
 親が口を出すことが少なくなった