2020.8.5
ラグビー界の第一人者に学ぶ!第1回
スポーツに学ぶ人間力の育て方 スポーツ × 子育て=人間力育て
対談
 中竹 竜二 日本ラグビーフットボール協会理事
 新山 智也 株式会社Hanasupo 代表
『どんな個性も活きるスポーツ ラグビーに学ぶ
                オフ・ザ・フィールドの子育て』について

  Mindset という考え方   
Fixed-Mindset     Growth-Mindset
ヒトは基本的には成長しない
生まれ持った資質・能力でしかない
ヒトは必ず成長する
Yet Mind
Power of ”Yet”
まだの力
 試合でうまくいかなくても「お前ねダメだ゜な」というのと「お前、まだダメだな」というのではちがう。
 受験に失敗した時、「不合格」というのと、「まだだね。これから上手くいくよ」というのではちがう。「未合格」、「あなた、まだまだ」と。
 中学生からラグビーをやっていたが、レギュラーではなく、試合に出ていないのに、早稲田のキャプテンに。経験値0で就任。「まだ、経験してないので、伸びしろが大きいです」と。
 留学し、サラリーマン。その後、清宮監督の後に早稲田のラグビー監督に。
 その後、日本U20の監督に。日本代表チームの監督代行にも就任。全て「まだ、これから」。
 コーチのコーチをする日本初のコーチングディレクターに。
 経験値0のものをいろいろとやってきた。その度に「今はまだできません。伸びしろは大きいです」と。Yet Mindを持つ。人を支えるという概念が大切。
 組織文化はどのように醸成されるかが研究テーマになっている。
 今は、選手を育てるコーチを育てている。スポーツの力は人間力を高める。
 オン・ザ・ボール  オフ・ザ・ボール  オン・ザ・フィールド オフ・ザ・フィールドがある。
 
 名将と言われる人は、ボールに触らない人がいかに大切か、育ててきている。
 どんなに頑張っている人でもフィールドの中に24時間いることはできない。日常生活が大事。食事、ミーティング、移動時間などで醸成される。オフ・ザ・フィールドで人は育つ

スポーツで学べる人間力とは。
 人間力は、社会で生きていく力。スポーツで学べる人間力とは、多岐にわたる。
 人間はいい意味で自分中心。自我が芽生える。スポーツは利他の精神を学べる。集団スポーツでも個人競技でも、他者と共にという意識が芽生えやすい。
 集団スポーツではチームワークもある。個人競技でも、ライバルがいる。仲間がいて、敵がいる。いい課題ができる、と、力が湧いてくる。

スポーツでどんな経験をしたらよいか。
 人間は、課題が大きくなると、自分一人では解決できなくなる。目の前にたくさんの敵が現れた時、「一人で守れ」「1人で進め」という時、自分ではできないことが分かる。仲間によって、分散され、助けてくれる存在を感じる。
 勉強も自分の力が試されるが、社会に出たら人と共に力を発揮するか、ということを学んでいない。
 受験で努力して成果を出してきたということも大事。でもそれだけではダメ。自分が頑張っているのに、能力が足りない。でもチームで乗り切れる。社会が求めているのは、チームとして、成果をあげられるかどうか。人の力を借りたり、人の力を伸ばしたり、一緒に成果をあげられるノウハウが大切。スポーツはそを育てる道具になりえる。
 そのチームでうまい人が、耳を傾けてくれたという経験が活きる。課題解決したいとき、スポーツでの勝ちたいということにつながる。一人では無理でも、11人なら勝てる。
 個人競技と集団スポーツ、組織文化という点では同じ。例えば陸上を一人でやっているかというと、競技場で練習している。一緒に練習している人がいる。自分より多く練習している人がいると、自分より本気で先生に立ち向か付いるなど、刺激を受ける。また指導者のもとで練習している。組織文化としては同じ文化と言える。
 ステージの上で、一人でデジション、決断しなくてはならない。自分のパフォーマンスがすべてとなる。責任感は高くなる。
 
 大事なことは、どれだけデジション、決断・選択しているか。
 スポーツの良さ、勝ち負けを求めている。
 スポーツの経験、体験の価値は、先が読めない。
 スポーツをみる醍醐味は、勝ち負けが分からない時に、それを決めるのは、選手のちょっとしたデジション、決断によって、大きく変化してしまう。それを見る楽しみ。
 人生は、いわばデジション、決断の連続。今は、プロセスの中で、どのような判断をしているかを見ていくことが醍醐味。
 今の人は、言われたことはできるが、自分で決められないことが多い。決断することをやりたくない。
 スポーツで小さな失敗をすることは、たいしたことはない。デジションの場をつくれることが、メリット。脳科学では、人間は1日に万の単位で思いついている。心境を一言を話すことができる。その時にどうデジション、決断するかである。
 役職は人を育てると言うが、役職が高いと、人前で言語化する場面が増える。リーダーとして、それだけデジションの数が増える。成果を上げる人は、デジションが多い。つまり、デジョンが多いか、少ないかによる。スポーツをやって、デジションを増やす。それだけ人間的成長につながることになる。
 選手の時に言語化することが大事と思った。プレーヤーではダメで、主将になって、チームのみんなに勝ち続けてもらうために、自分の思いを言語化し、リクエストを明確にし、僕を助けてくれないかと相談したことから始まった。
 自分中に閉じ込めておいても気づかない。言語化することが大切。悩み等をいかに言語化できるか。人間が人間であること。
 コーチになって言うことは、「まず、走る前に言語化しましょう」と。

言語化することは難しい
 子どもに「今日は何が楽しかった」とインタビューをすると「試合」で終わってしまう場合がある。しかし、「今日は3つの練習をしたけれど、どの練習が良かった」と尋ねている。もやっとしたことを、言語化できるといい。
 言語化することで、他にも生きていく。言語化=成長ではなく、言語化=デジション、決断=成長となる。
 言語化させる価値を探究するとよいと思う。

 他のスポーツ、他のことに応用するといいと思う。訓練の場として外でも生かせるように。
 
 人間の本質的な本能は、意味づける動物。何でも意味づけしたがる。それは、言語による。
 人間は行動や感情を意味づけする際に、自分が納得出来るように言語化できると、再現性が高くなる。普段の生活で役立つ。
 学びは、意味づけの明確さともいえる。意味づけにはバリエーションの豊かさが大切。人間は、再現しようとする。「試合の何がどう楽しかった」かを自分の中で意味づけしていくと、それを再現化していく。
 「今日は、シュートした。」「抜かれたけど、楽しかった」と。
 言語化することで価値に気付く。再現性が生まれる。

 「朝ごはん、何にしようか」「昼、何を食べようか」「何を着ようか」「何をしようか」等、これは全てデシジョン。常にデシジョンしている。無意識的にやっていること。それがルーティーン化されると、デシジョンしなくなり、習慣化する。習慣が組織に及ぼす影響を考えるのが組織文化。いい習慣は、いい組織文化となる。いい組織文化は、醸成するといい。
 悪い組織文化が、はびこっていたら、変えるしかない。悪い組織文化を変えるには、一人一人の行動を変えるしかない。
 例えば、サッカーの走る練習で、線を越えてターンしてくるということがある場合、コーチがいなくても全員が線をきちんと越えてターンをしてくるか、コーチがいると線を越えるのか。全部文化なのです。意識的にやっているようでも無意識でやっている。これは、悪い組織文化。
 一回一回の行動を洗い出し、これっていい実践なのかどうか。
 ターンであれば、今 このターンは本当にいいターンと思って走っているか。見ていなくてもきちんとターンをするかどうか。ちゃんと、回数をやろうとするか。これもデシジョン。
 ルーティーンを含め、小さな決断が自分にとって満足かどうか見直すことが大事。 
 どこから変えていくか。目的、目標を明確にするといい。
 自分の中で、振り返る時に、このデシジョンが良かったか悪かったか、基準を明確にすること。無意識のデシジョンを可視化するのは難しいが、スポーツは可視化できてきている。
 全員の行動をビデオをとり、お箸の持ち方、ドアの開け方等、デシジョンの塊なので、そこを改善していく。。
 
コーチのコーチとして指導者に伝えたいこと
 教えることよりもいかに学ぶか。教えるプロになろうとする人がいるが、コーチしていかに学ぶか。
 「世界で勝つためにコーチとしていかに学ぶか。コーチが学んでください。学ぶことをやめたらコーチをやめなさい」と。
 「大人の学びは痛みです。」
 大人になって学ぶことは、プライドを捨てる。知らないと明言する。固定概念を捨てる。
 セルフアウトしなければならないことがある。それは、かなり苦痛が伴う。痛み伴うからこそ、いいチームを創れる。学ぶと選手も伸びる。
 そのため、経験を0にすることも必要。これまでの価値観を捨てる。違う概念を取り入れる。
 「人間は完璧ではない。それをさらけ出してください。」
 ついつい優秀であろうとする。力があるということを現わそうとする。それはあまり機能しない。非完璧。失敗もする。それを認める。不完全であることを示していく。プライドが傷つくこともある。それをしないと人間関係は構築できない。弱さを見せないと、信頼関係は構築できない。
 多くのコーチは逆を思っている。コーチは正しく、威厳があり、コーチが分からないという言葉を使ってはいけないと思っている。
 固定概念を砕けるかどうか。今の時代、少し勉強すると、そのような情報があふれている。

 オフ・ザ・フィールドが大事。多くのコーチは、自分の競技のことを学びがち。コでもーチとして、指導する側として、何が重要かというと、自分が足りないことをどれだけ、認められるか。
 「I don't know.I can do it.」と、いう言葉を早く言えるようになること。
 これを言えるようにならないと、いいコーチになれない。

 
 お母さんの中で「子どもがどうやったら勉強出来るようになりますか。」という方がいる。その方には子どもが分からないと質問された時に、どう答えますか。「お母さんは、分からない」と答えるか、「分からない。お母さんも調べてみるね。」と答えるか。弱みを見せられるか。
 教育心理学でも「親の言っていることはやらない。親のやっていることはやる。」という。「子どもがどうやったら勉強出来るようになりますか。」という方は、勉強していないんですね。背中を見せること。デモンストレーションです。可視化して、身近な人が実行することが影響力がある。自分が見本を見せること。
 「うちの子、本を読みますか。」と聞かれるお母さんがいる。そこで「お母さん、本を読みますか」と聞くと、「読みません。」と答える。「お母さんが本を読んでください。」と。

子どもに選択させる
「習い事をさせたいが、何をやらせたらいいか。」という質問があるが、親が決めるのではなく、選べる環境をつくってほしい。
 たくさん選択肢があるのなら、たくさん体験会に行かせて「あなたはどれがいいかな」とわかるまで付き合い、当事者がこれならやってみたいというようにおぜん立てすることが大事。

 指導者として、いかに託すか、プロセスも託すか。
 「どのようなチームを作りたいの」「どんな練習したいの」
 自分で決めた、決断する時間が増える。自分で物事を決めるということと、それを実践できるか。

デシジョンを持たない子どもにはどうしたらいいか。
 子どもは選択肢をあげられない。多すぎるとだめ。自由に何でもやらせるのではなく、適切な選択肢に限定していく。そうすると、枠を飛び越えようとする。
 問いかけも、寄り添った質問、選択枝質問をするといい。
 「今は、これとこれがあるけれど、どうしたらいい。」「このいうチャンスがあるけれど、どうしたらいい」と選択肢をあげて、問いかける。
 「なぜ?」「どうして?」「何で?」という問いは、聴く側は楽だが、答える側が難しい。
 答えることはやさしいが、選ぶことは難しい。考えることはスムーズにする、選択肢質問をするといい。適切かどうか見直すといい。質問力は鍛えないとできない。