第68回 生活科教育研究会春の定例会 講演
 「主体的・対話的で深い学びの実現に向けて」
文部科学省 田村 学 視学官
 先ほどは、横浜国立大学附属鎌倉小学校の徳山先生に実践発表をしていただきました。徳山先生は何歳ですか。
「33歳です。」
 低学年は何回受け持たれているのですが。
「低学年は5回、受け持っています。一年生を3回、二年生が2回です。」
 実践の構想もできて、実践もできる。生活科が確かなものとなってきている証拠だと思います。このように多くの先生が実践できるようになった。すごいと思います。
 さて、私事ですが、年度内に退官し、4月からは大学で授業を持つこととなりました。12年間、文部科学省に勤めてきました。42歳で入省しました。現在の立場でお話しするのは最後になります。
 さて、学習指導要領(案)が示されました。正式には、もうしばらくして発表になると思います。
 小学校学習指導要領(案)はこちらから
育成すべき資質・能力の三つの柱
学びを人生や社会に生かそうとする
学びに向かう力・人間性等の涵養
どのように社会・世界と関わり、
よりよい人生を送るか
「確かな学力」「健やかな体」「豊かな心」を
総合的にとらえて構造化
何を理解しているか
何ができるか
理解していること・できる
ことをどう使うか
生きて働く
知識・技能の習得
未知の状況にも対応できる
思考力・判断力・表現力等の育成
 3つの資質・能力の育成が大事だと言われています。総則についてキーワードをみていくと、総則 第1の2には、次のように示されています。
2 学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,第3の1に示す 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して,創意工夫を生 かした特色ある教育活動を展開する中で,次の(1)から(3)までに掲げる内容 の実現を図り,児童に生きる力を育むことを目指すものとする。
(1) 基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課 題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との協働を促 す教育の充実に努めること。その際,児童の発達の段階を考慮して,児童 の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との 連携を図りながら,児童の学習習慣が確立するよう配慮すること。
(2) 道徳教育や体験活動,多様な表現や鑑賞の活動等を通して,豊かな心や 創造性の涵養を目指した教育の充実に努めること。 かん 学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」とい う )を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科は 。 もとより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれ ぞれの特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行うこ と。 道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に 基づき,自己の生き方を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間 として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目 標とすること。 道徳教育を進めるに当たっては,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の 念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心 をもち 伝統と文化を尊重し それらを育んできた我が国と郷土を愛し 個性豊かな文化の創造を図るとともに,平和で民主的な国家及び社会の形 成者として,公共の精神を尊び,社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある ひら 日本人の育成に資することとなるよう特に留意すること。
( 3) 学校における体育・健康に関する指導を 児童の発達の段階を考慮して 学校の教育活動全体を通じて適切に行うことにより,健康で安全な生活と 豊かなスポーツライフの実現を目指した教育の充実に努めること。特に, 学校における食育の推進並びに体力の向上に関する指導,安全に関する指 導及び心身の健康の保持増進に関する指導については,体育科,家庭科及 び特別活動の時間はもとより,各教科,道徳科,外国語活動及び総合的な 学習の時間などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努める こと。また,それらの指導を通して,家庭や地域社会との連携を図りなが ら,日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し,生涯 を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮 すること。
 この(1)(2)(3)は知徳体を示しており、(1)が知、(2)が徳、(3)が体となっています。
3 2の(1)から(3)までに掲げる内容の実現を図り,児童に生きる力を育むこと を目指すに当たっては 学校教育全体並びに各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間及び特別活動(以下「各教科等」という。ただし,第2 の3の(2)のア及びウにおいて,特別活動については学級活動(学校給食に係 るものを除く。)に限る。)の指導を通してどのような資質・能力の育成を目 指すのかを明確にしながら,教育活動の充実を図るものとする。その際,児 童の発達の段階や特性等を踏まえつつ,次に掲げることが偏りなく実現でき るようにするものとする。
(1) 知識及び技能が習得されるようにすること。
(2) 思考力,判断力,表現力等を育成すること。
(3) 学びに向かう力,人間性等を涵養すること。
そして「(1) 知識及び技能が習得されるようにすること。」「(2) 思考力,判断力,表現力等を育成すること。」「(3) 学びに向かう力,人間性等を涵養すること。」と明示されているのです。
4 各学校においては,児童や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的 や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていく こと,教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程 の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図ってい くことなどを通して,教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活 動の質の向上を図っていくこと(以下「カリキュラム・マネジメント」とい う )に努めるものとする。
 4においては、「カリキュラムマネジメント」というカタカナ言葉がででいますが、キーワードになります。
第2 教育課程の編成
1 各学校の教育目標と教育課程の編成
 教育課程の編成に当たっては,学校教育全体や各教科等における指導を通して育成を目指す資質・能力を踏まえつつ,各学校の教育目標を明確にする とともに,教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有さ れるよう努めるものとする。その際,第5章総合的な学習の時間の第2の1 に基づき定められる目標との関連を図るものとする。
2 教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成
(1) 各学校においては,児童の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能 力(情報モラルを含む ,問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質 。) ・能力を育成していくことができるよう,各教科等の特質を生かしつつ, 教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
(2) 各学校においては,児童や学校,地域の実態及び児童の発達の段階を考 慮し,豊かな人生の実現や次代の社会の形成に向けた現代的な諸課題に対 応して求められる資質・能力を,教科等横断的な視点で育成していくこと ,
 第2の1教育課程の編成においては、「目指す資質・能力とつなげて」ということと、「総合と関連づけて」ということがポイントです。
 また、2については、「(1)教科等横断的な視点、」「(2)現代的な諸課題」ということです。
いずれにしても総合と関連づいているのです。
4 学校段階等間の接続
  教育課程の編成に当たっては,次の事項に配慮しながら,学校段階等間の 接続を図るものとする。
(1) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえた指導を工夫することにより,幼稚園教育要領等に基づく幼児期の教育を通して育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施し,児童が主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことが可能となるようにすること。 また,低学年における教育全体において,例えば生活科において育成する自立し生活を豊かにしていくための資質・能力が,他教科等の学習にお いても生かされるようにするなど,教科等間の関連を積極的に図り,幼児期の教育及び中学年以降の教育との円滑な接続が図られるよう工夫すること。特に,小学校入学当初においては,幼児期において自発的な活動としての遊びを通して育まれてきたことが,各教科等における学習に円滑に接続されるよう,生活科を中心に,合科的・関連的な指導や弾力的な時間割 の設定など,指導の工夫や指導計画の作成を行うこと。
 「幼児期との接続について示されています。特に、「」生活科との接続」ということです。スタートカリキュラムという言葉は入っていませんが、「指導の工夫や指導計画の作成を行う」とされています。 
第3 教育課程の実施と学習評価
 1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
 アクティブラーニングという言葉は出ていませんが、「主体的・対話的で深い学び」が大事だということです。告示文では、アクティブラーニングという言葉を使っていません。

■生活科の教科目標(案)

 具体的な活動や体験を通して,身近な生活に関わる見方・考え方を生かし,自立し生活を豊かにしていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指 す。
(1) 活動や体験の過程において,自分自身,身近な人々,社会及び自然の特徴やよさ,それらの関わり等に気付くとともに,生活上必要な習慣や技能を身に付けるようにする。
(2) 身近な人々,社会及び自然を自分との関わりで捉え,自分自身や自分の生活について考え,表現することができるようにする。
(3) 身近な人々,社会及び自然に自ら働きかけ,意欲や自信をもって学んだり 生活を豊かにしたりしようとする態度を養う。

 教科目標は、はじめにリード文があり、三本の柱に沿って、その教科で育てるべき資質・能力が示されています。
 ここには、3つの要素が盛り込まれています。
 固有の活動、見方・考え方を生かしている、目指す姿です。
 これまでの自立への基礎を養うということを否定しているのではなく、「生活を豊かにする」と発展させています。
 他教科では、見方・考え方が先に出てくる場合が多いです。生活科においては、「見方・考え方を生かし」としています。他教科では「見方・考え方を働かせ」というような文章になっています。
 この「見方・考え方」については、答申と少し変えています。「見方」というのは、対象をとらえる視点ということです。学びのありよう、学習のプロセスと言えます。
 このペットボトルを見て、美術的な見方では「色がきれい」とか、算数的な見方では「円柱」とかでとらえるとらえ方の他に、山に登った時のペットボトルというような見方です。
 次に考え方ですが、アサガオを自分とのかかわりで考えるということですというように、考え方というのは、想いや願いを実現する、自分とのかかわりでとらえるということです。
 理科では科学的に探究するとか、国語では言葉についてしっかりとらえるとか、総合では自分の生き方を問い続けるというようなことです。全教科で統一されていません。 京都大学の石井先生は、「考え方というとわかりにくい」と話しています。全教科が統一されるかどうかはわかりません。
 生活科は、この見方・考え方で、よりクリアーになります。
 今回の改訂で、教科目標がきちんと表に収まります。
教科目標
具体的な活動や体験
知識や技能の基礎 思考力・判断力・表現力等の基礎 学びに向かう力、人間性等
(1) 活動や体験の過程において,自分自身,身近な人々,社会及び自然の特徴やよさ,それらの関わり等に気付くとともに,生活上必要な習慣や技能を身に付ける (2) 身近な人々,社会及び自然を自分との関わりで捉え,自分自身や自分の生活について考え,表現する力を育成する (3) 身近な人々,社会及び自然に自ら働きかけ,意欲や自信をもって学んだり 生活を豊かにしたりしようとする態度を育てる。
学年目標
学校,家庭及び地域の生活に関わること
それらのよさやすばらし、自分とのさ関わりに気付き 自分と身近な人々, 社会及び自然との関わりについて考える 地域に愛着をもち自然を大切にしたり 集団や社会の一員として安全で適切な行動をしたりするようにする。
身近な人々 社会及び自然と触れ合ったり関わったりすること
活動のよさや大切さに気付き, それらを工夫したり楽しんだりすることができ 自分たちの遊びや生活をよりよくするようにする。
自分自身を見つめる
自分のよさや可能性に気付き, 自分の生活や成長,身近な人々の支 えについて考える 意欲と自信 をもって生活するようにする。
 一文で構成されていますが、3つの柱の中に入るように構成されています。
 これまでは、内容について、三つの階層から成り立っていました。
 第1層「児童の生活圏としての環境に関する内容= (1)学校と生活(2)家庭と生活(3)地域と生活」、第2層「自らの生活を豊かにしていくために低学年の時期に体験させておきたい活動に関する内容= (4)公共物や公共施設の利用(5)季節の変化と生活(6)自然や物を使った遊び(7)動植物の飼育・栽培(8)生活や出来事の交流」、第3層「自分自身の生活や成長に関する内容= (9)自分の成長」でした。
 構成が変わりました。これまでは学年目標があいまいでした。1・2年しかないのに、どう違うのかとなりました。家庭科では学年目標がなくなりました。生活科では、残しました。塊として整備されました。
学年目標
学校,家庭及び地域の生活に関わること
知識や技能の基礎 思考力・判断力・表現力等の基礎 学びに向かう力、人間性等
それらのよさやすばらし、自分とのさ関わりに気付き 自分と身近な人々, 社会及び自然との関わりについて考える 地域に愛着をもち自然を大切にしたり 集団や社会の一員として安全で適切な行動をしたりするようにする。
内容(1)
学校生活に関わる活動
学校での生活は様々な人や施設と関わっていることが分かる 学校の施設の様子や学校生活を支えて いる人々や友達,通学路の様子やその安全を守っている人々などについて 考える 楽しく安心して遊びや生活をしたり,安全な登下校をしたりしようとする
内容(2)
家庭生活に関わる活動
家庭での生活は互いに支え合って いることが分かる 家庭における家族のことや自分でできることなどについて考える 自分の役割を積極的に果たしたり,規則正しく健康に 気を付けて生活したりしようとする
内容(3)
地域に関わる活動
自分たちの生活は様々な人や場所と関わっていることが分かる 地域の場所やそこで生活したり働いたりしている人々について考える それらに親しみや愛着をもち,適切に接し たり安全に生活したりしようとする
身近な人々 社会及び自然と触れ合ったり関わったりすること
知識や技能の基礎 思考力・判断力・表現力等の基礎 学びに向かう力、人間性等
活動のよさや大切さに気付き, それらを工夫したり楽しんだりする 自分たちの遊びや生活をよりよくするようにする。
内容(4)
公共物や公共施設を利用する活動
身の回りにはみんなで使うものがあること やそれらを支えている人々がいることなどが分かる それらのよさを感じたり働きを捉えたりする それらを大切にし,安全に気を付けて正しく利用しようとする。
内容(5)
身近な自然を観察したり,季節や地域の行事に関わったりするなどの活動
自然の様子や四 季の変化,季節によって生活の様子が変わることに気付く それらの違いや特徴を見付ける それ らを取り入れ自分の生活を楽しくしようとする
内容(6)
身近な自然を利用したり,身近にある物を使ったりするなどして遊ぶ活 動
その面白 さや自然の不思議さに気付く 遊びや遊びに使う物を工夫してつくること みんなと楽しみながら遊びを創り出そうとする。
内容(7)
動物を飼ったり植物を育てたりする活動
それらは生命を もっていることや成長していることに気付く それらの育つ場所, 変化や成長の様子に関心をもって働きかける 生き物への親しみをもち,大切にしようとする。
内容(8)
自分たちの生活や地域の出来事を身近な人々と伝え合う活動
身近な人々と関わることのよさや楽しさが分かる 相手のことを想像したり伝えたいことや伝え方を選んだりする 進んで触 れ合い交流しようとする。
自分自身を見つめる
知識や技能の基礎 思考力・判断力・表現力等の基礎 学びに向かう力、人間性等
自分のよさや可能性に気付き, 自分の生活や成長,身近な人々の支えについて考える 意欲と自信 をもって生活するようにする。
内容(9)
自分自身の生活や成長を振り返る活動
自分が大きくなったこと,自分でで きるようになったこと,役割が増えたことなどが分かるとともに 自分のことや支えてく れた人々について考える これま での生活や成長を支えてくれた人々に感謝の気持ちをもち,これからの成長への願いをもって,意欲的に生活しようとする。
第3の2の(6)
生活上必要な習慣や技能の指導については,人,社会,自然及び自分自 身に関わる学習活動の展開に即して行うようにすること。
 これまでと比べて思考・判断・表現等に関するところが、強調されています。
 今回、幼稚園指導要領の中に、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が示されてます。自分ができているかと問われるとなかなかできていないのですが、10の姿が示されています。
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
健康な心と体
 幼稚園生活の中で,充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ,見 通しをもって行動し,自ら健康で安全な生活をつ くり出すようになる。
自立心
 身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽 しむ中で,しなければならないことを自覚し,自分の力で行うために考えたり,工夫したりしなが ら,諦めずにやり遂げることで達成感を味わい, 自信をもって行動するようになる。
協同性
 友達と関わる中で,互いの思いや考えなどを共 有し,共通の目的の実現に向けて,考えたり,工夫したり,協力したりし,充実感をもってやり遂げ るようになる
道徳性・規範意識の芽生え
 友達と様々な体験を重ねる中で,してよいことや悪いことが分かり,自分の行動を振り返ったり, 友達の気持ちに共感したりし,相手の立場に立って行動するようになる。また,きまりを守る必要性が分かり,自分の気持ちを調整し,友達と折り合いを付けながら,きまりをつくったり,守った りするようになる
社会生活との関わり
 家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに,地域の身近な人と触れ合う中で,人との様々な関わり方に気付き,相 手の気持ちを考えて関わり,自分が役に立つ喜びを感じ,地 域に親しみをもつようになる。また,幼稚園内外の様々な環 境に関わる中で,遊びや生活に必要な情報を取り入れ,情 報に基づき判断したり,情報を伝え合ったり,活用したりする など,情報を役立てながら活動するようになるとともに,公共 の施設を大切に利用するなどして,社会とのつながりなどを 意識するようになる。
思考力の芽生え
 身近な事象に積極的に関わる中で,物の性質 や仕組みなどを感じ取ったり,気付いたりし,考えたり,予想したり,工夫したりするなど,多様な 関わりを楽しむようになる。また,友達の様々な 考えに触れる中で,自分と異なる考えがあること に気付き,自ら判断したり,考え直したりするなど, 新しい考えを生み出す喜びを味わいながら,自 分の考えをよりよいものにするようになる。
自然との関わり・生命尊重
 自然に触れて感動する体験を通して,自然の 変化などを感じ取り,好奇心や探究心をもって考 え言葉などで表現しながら,身近な事象への関 心が高まるとともに,自然への愛情や畏敬の念 をもつようになる。また,身近な動植物に心を動 かされる中で,生命の不思議さや尊さに気付き, 身近な動植物への接し方を考え,命あるものとしていたわり,大切にする気持ちをもって関わるよ うになる。
数量や図形,標識や文字などへの関心・感覚
 遊びや生活の中で,数量や図形,標識や文字 などに親しむ体験を重ねたり,標識や文字の役 割に気付いたりし,自らの必要感に基づきこれら を活用し,興味や関心,感覚をもつようになる。
言葉による伝え合い
 先生や友達と心を通わせる中で,絵本や物語 などに親しみながら,豊かな言葉や表現を身に付け,経験したことや考えたことなどを言葉で伝 えたり,相手の話を注意して聞いたりし,言葉に よる伝え合いを楽しむようになる。
豊かな感性と表現
 心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる 中で,様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き,感じたことや考えたことを自分で表現した り,友達同士で表現する過程を楽しんだりし,表 現する喜びを味わい,意欲をもつようになる。
 ここでは、「自立への基礎」と言われています。幼稚園で「自立への基礎」ですから、小学校では「自立の基礎」とは言えません。幼稚園では、先生の支援を受けながら物的・空間的な環境を構成していく中で、この10の姿を実現していくのです。
 小学校では、少し大人の手を離れていくというイメージです。一定程度目指していくのです。
 学習指導要領(案)生活科の第3 指導計画の作成と内容の取扱いの1の (4)には、次のように示されています。
 (4) 他教科等との関連を積極的に図り,指導の効果を高め,低学年における 教育全体の充実を図り,中学年以降の教育へ円滑に接続できるようにする とともに,幼稚園教育要領等に示す幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 との関連を考慮すること。特に,小学校入学当初においては,幼児期にお ける遊びを通した総合的な学びから他教科等における学習に円滑に移行 し,主体的に自己を発揮しながら,より自覚的な学びに向かうことが可能 となるようにすること。その際,生活科を中心とした合科的・関連的な指導や,弾力的な時間割の設定を行うなどの工夫をすること。
 「他教科等」と示されています。これまでは、「国語、音楽、図工」でした。他の教科と関連することになったというのは大きな意味のあることです。下とも上とも、横にも入ってくるのです。生活科が真ん中として、各教科の結節点として入ってくるのです。
 その意味でも、スタートカリキュラムが大事になります。10の姿を存分に発揮できるようにスタートカリキュラムを作っていくのです。
 また「合科的・関連的な指導」と示されています。合科的・関連的な指導をしていくのです。
 次に総合について、見ていきたいと思います。
■総合的な学習の時間の目標
 探究的な見方・考え方を働かせ,横断的・総合的な学習を行うことを通して,よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力を次のとお り育成することを目指す。
(1) 探究的な学習の過程において,課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け課題に関わる概念を形成し 探究的な学習のよさを理解するようにする
(2) 実社会や実生活の中から問いを見いだし 自分で課題を立て 情報を集め整理・分析して,まとめ・表現することができるようにする。
(3) 探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,積極的に社会に参画しようとする態度を養う。
 つまり探究ということです。 
見方・考え方
■身近な生活に関わる見方・考え方
「身近な人々、社会及び自然を自分との関りで捉え、よりよい生活に向けて思いや願いを実現しようとすること」
■探究的な見方・考え方
「各教科における見方・考え方を総合的に活用して、広範な事象を多角的な角度から俯瞰して捉え、実社会・実生活の課題を探究し自己の生き方を問い続けること」
 探究には2つあります。各教科での探究と俯瞰してとらえる探究です。自己の生き方を問い続けることともいえます。
 目標には「(1) 探究的な学習の過程において,課題の解決に必要な知識及び技能を身に付け課題に関わる概念を形成し 探究的な学習のよさを理解するようにする (2) 実社会や実生活の中から問いを見いだし 自分で課題を立て 情報を集め整理・分析して,まとめ・表現することができるようにする (3) 探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに,互いのよさを生かしながら,積極的に社会に参画しようとする態度を養う。」が、ぶら下がっています。
 目標は、「探究的な見方・考え方を働かせ」といいうことです。これまでの目標は、「横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して」でした。「横断的・総合的な学習や探究的な学習」の「」は、「or」ということです。探究or横断的だったのです。これからは、探求を前面にしていくのです。
 第2の3 「各学校において定める目標及び内容の取扱い」の中に、一つのカギを握る項目があります。
(4) 各学校において定める内容については,目標を実現するにふさわしい探究課題,探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力を示すこと。
 「探究課題」と「資質・能力」を示すということです。
 これまで各教科の内容については、目標・内容ということで、記述の水準が違っていました。国語については、例えば「順序よく」というように能力的な部分での記入でした。社会科や理科では、学習対象が示されていました。
 今回、総合については、資質・能力の三本と探求課題という形で示されています。
 四つの箱がどうつながっているか、みていくといいと思います。
 第2の3 各学校において定める目標及び内容の取扱い(6)では、次のように書かれています。
(6) 探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力については, 次の事項に配慮すること。
 ア 知識及び技能については,他教科等及び総合的な学習の時間で習得する知識及び技能が相互に関連付けられ,社会の中で生きて働くものとして形成されるようにすること。
 イ 思考力,判断力,表現力等については,課題の設定,情報の収集,整理・分析,まとめ・表現などの探究的な学習の過程において発揮され, 未知の状況において活用できるものとして身に付けられるようにすること。
ウ 学びに向かう力・人間性等については,自分自身に関すること及び他者や社会との関わりに関することの両方の視点を踏まえること
 アは、学習課題・対象について イは、思考・判断について ウは、学びに向かう力・人間性について示されています。
シンクロしているのです。
 例えば、「学習課題が川の環境問題と地域の人とのかかわり」だとします。どのような概念になるでしょうか。
 環境の問題でとらえると、地域の人が支えている、共生しているというものならば、共生という概念が大事になります。
 同じ環境問題でも、地域の協力や施策ということになると、連携という概念になります。
 つまり、内容が関連していくのです。川の環境問題と地域のかかわりといっても、実際のあり様としてはいろいろと考えられるということです。
 アが弱かったのです。

主体的・対話的で深い学び(「アクティブラーニング」の視点)の関係(イメージ)
◆「アクティブ・ラーニング」の3つの視点を明確化することで、授業や学習の改善に向けた取組を活性化することができる。これにより、知識・技能を生きて働くものとして習得することを含め、育成すべき資質・能力を身に付けるために必要な学習過程の質的改善を実現する。
◆資質・能力は相互に関連しており、例えば習得・活用・探究のプロセスにおいては、習得された知識・技能が思考・判断・表現において活用されるという一方通行の関係ではなく、思考・判断・表現を経て知識・技能が生きて働くものとして習得されたり、思考・判断・表現の中で、知識・技能が更新されたりすることも含む。
「アクティブラーニング」の視点からの学習過程の質的改善
知識・技能
学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養
思考力・判断力・表現力等
生きて働く知識・技能の習得 未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成
学びに向かう力・人間性
※基礎的・基本的な知識・技能の習得に課題が見られる場合においても、「深い学び」の視点から学習内容の深い理解や動機づけにつなげたり、「主体的な学び」の視点から学びの興味や関心を引き出すことなどが重要である。
 さて、主体的・対話的で深い学びについてですが、総則 第3 教育課程の実施と学習評価 の1として「 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」と して示されています。
 各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 第1の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。
 単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うとされています。
 生活科では、第3 指導計画の作成と内容の取扱いで次のように示されています。

1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 年間や,単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,児童が具体的な活動や体験を通して,身近な生活 に関わる見方・考え方を生かし,自分と地域の人々,社会及び自然との関わりが具体的に把握できるような学習活動を行うこととし,校外での活動 を積極的に取り入れること。
 年間や単元などの内容や時間のまとまりを通して児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにするのです。
 また、総合的な学習の時間においても、第3 指導計画の作成と内容の取扱いにおいて、次のように示されています。
 第3 指導計画の作成と内容の取扱い
1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
  (1) 年間や,単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質 ・能力の育成に向けて,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るよ うにすること。その際,児童や学校,地域の実態等に応じて,児童が探究的な見方・考え方を働かせ,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習を行うなど創意工夫を生かした教育活動 を行うこと。
 ここでも、年間や,単元など内容や時間のまとまりを見通して,ということなのです。ユニットで考えるということです。キーワードは、「児童の主体的・対話的で深い学び」ということです。プロセスが大事ということです。
 三つの資質・能力と常に関連し、確かなものとしてなっていかなくてはなりません。図の中では、だんだんと線が太くなっています。また、だんだんと近づいて一体化しています。
 主体的・対話的とは、どのようなことでしょうか。参考にできるのが、幼稚園の学びにあります。
 幼稚園の年中さんの子どもの様子です。シャボン玉を吹いています。 たっくんといいますが、シャボン玉は、はじめてです。様子を見て気づくことはありますか。近くの人と話し合ってみてください。(近くの人と話し合い)
 では、どうでしょう。
 吹き方がどうも。
 持ち方が気になります。

 そうですね。ストローの持ち方がぎこちないですね。
友だちを追いかけています。見て学ぶのです。ストローを反対に持っています。
 幼稚園では環境を通して学ぶという姿勢があります。先生が、ストローではなく、筒を渡しました。するとシャボン玉ができました。持ち方を学んでいます。トライアンドエラーです。
 一度、成功すると自分でできるようになります。
 余裕もでてきます。角度を変えたり、風向きを考えたり、と。子どもたちは45分の中で学んでいるのです。活動を通して学んでいます。友だちとのかかわり、ことばが出てきます。「ねえねえ・・・」。すると、かかわりが生まれ、活動がさらに活発になります。考えて行動できるのです。
 やってみたら、できるようになる。それを感じ、考え、行為する。そんなプロセスを潤沢にやっています。 
 一心くんは、お面づくりをしました。はじめはゴムをうまく止めることもできず大失敗。先生に作り方を教えてもらいました。

 今度は、自分で作り始めました。ちょうどよく出来上がりました。
 感じ、考え、行為しています。繰り返し、何度も経験していきます。
 しばらくして、椅子の取り合いからケンカになってしまいました。友だちのために、何とかしようとします。しかし、椅子は女の子のものに。
 すると、友だちは、駆け出して部屋から出て行ってしまいました。
 一心くんは、友だちを追いかけました。けれども何もできません。
 雨のしずくが木から落ちていました。通り越して、その雨雫を飲みだしたのです。見ていて、気持ちがほんわかになりました。友だちも笑顔になったのです。
 真剣に考えて、声をかける雰囲気ではないと思ったのでしょう。子どもは、その場の雰囲気を感じ、考え、行為するのです。プロセスが大事なのです。 
 そんな幼稚園の学びを生活科につなげていくのです。今回は、総則にポンと出ています。
 何をしているのでしょうか。近くの人と話し合ってみてください。
 アサガオの栽培ではマンネリになりがちです。担任はアサガオの立場になって考えさせたいと思いました。そこでも、アサガオキャップを考えたのです。アサガオの声がよく聞こえるようになるというキャップです。このキャップをかぶることで子どもはアサガオに寄り添うことができるのです。
 この話をすると、幼稚園の先生は、「なるほど」といいます。高校の先生は「何で」といいます。大人には苦手なことです。昔は聞こえたのだと思います。年齢とともに客観的、分析的になっていきます。「エー。非科学的ですね」という人もいます。
 しかし、子どもは対象と一体的に見取ることができます。子どもは何にでもなれるのです。
 活動は極めて自然です。先生が子どもの特性を生かしているといえます。子ども達は、
「聞こえたよ」
「アサガオは夜、友達がいなくて一人じゃさびしい」
「くっついていたらいい」
「夜はいられへん」
「もってかえる」
「毎日持って帰れへん」
と。
 ファンタジーのような世界ですが、低学年は一体化させる能力に秀でています。先生は「帰るときにお話をするといいよ」「たくさんお話しするといいよ」と伝えます。このような活動をしていくと、表現したくなるのです。話し合いをしたくなる子が話をしていくことにより、どんどん広がっていきます。
 このような思考が低学年の子どもには向いているのです。低学年の発達段階に合わせられるかです。
 「秋となかよくなろう」という活動をしました。
 一枚目のカードでは、何を書いているのか、よくわかりません。先生は「この葉っぱでどんなことをしたのかな。」と何を書いたのと、声をかけました。
 すると、「葉っぱで山をつくったの。」「音がしていたよ」「気持ちがよかった」と、書いたことだけではわからなかったことを話してくれます。
 言葉かけで、クリアー化し、確かなものになっていくのです。声を発したことにより、自覚化されます。経験しても自覚化されないことがたくさんあります。言葉にすることで、自覚できます。
 明らかにできるかどうかは、教師のかかわりによるのです。
 単元のまとめでは、全く違うカードになっています。大きく成長しています。
どんなことをしたのか、比較をしています。色の違い、緑の葉、枯れた葉。緑は落ちていない。茶色は落ちているということもわかっています。秋になると紅葉し、落葉する。秋になることもわかってきます。
 カードにも違いが出ています。形、色、状態も、詳細な描写に変わっています。春との比較もでています。色と状態と関連付けています。
 まさに個別の気付きから関連付けている様子をみとることができます。
 アサガオを育てた子どものカードです。
「アサガオのはっぱがハートのかたちをしていました。」
   ↓
 「毎日お世話したので、アサガオも大きくなることができました。」
   ↓
 「アサガオも大きくなったけれど、私も大きく成長しました。」
 気づきはプロダクトです。 解説書4ページには、この場面のことを次のように示しています。
 「毎日アサガオのお世話をしたので,アサガオが大きくなりました。アサガオと一緒に私も大きくなりました」という児童の声に見て取れる。ここでは,自分自身の体の成長だけではなく,毎日毎日休まずにアサガオの世話を続けることのできた自分自身の心の成長にも気付いている姿がある。生活科のどの内容においても,児童が対象と自分とのかかわりを深め,対象に気付くことで,そこに映し出される自分自身への気付きが生じる。また,直接自分自身への気付きを深める学習として内容(9)「自分の成長」がある。ここでは,自分の過去を振り返って心身ともに成長した自分を感じ,自分はさらに成長していけるであろうという期待と意欲を育てることを目指している。
 プロダクト(気付き)が大事です。つなげて、気付く、はっきりして気付くのです。この気付きの質が高まっていくイメージが、深い学びの入口として捉えるとよいと思います。
 深いということはどのようなことでしょうか。
 これは答申に「見方・考え方を働かせて深い学びに」と示されています。
 つまり、学びのプロセスが充実するということです。
 御所南小学校では、町を紹介するリーフレットづくりをしました。先生は、やさしく丁寧な対応をしていました。先生は、「町のすてきなところはどこでしょう」と言ったら、「町の人」のことははなかなか出てこないだろうと考えました。
 「町のこんな素敵なところ」というと、やはり最初はものやコトでした。
 次に人が出てきました。人のところでは、先生が質問しました。「ねえねえ、どういうこと。どんな気持ちしたか。」と質問しました。
 すると、みんながぐっと体を乗り出し「どんな人」と。そして「あった。あった。」と出てきたのです。
 「人について気づいたことはありませんか。」などとは言わないのです。
 さらに先生は、黒板の左側に「もの・コト」を。右側に「人」を書いていきました。
 素敵な人・もの・コトが出てきました。まさに期待する方向に進んで行ったのです。
 授業者がどう思っているかによって、町に対する気付きの質が高まります。まさに教師の腕です。教師力が必要なのです。
 群馬の小学校です。皆さんは子どもの発言をどう取り上げますか。教師の授業力が大事です。
 この先生は子どもが発言すると、ポケットからハートの紙を取り出し、発言をその紙に書き出し、丸く貼り出しました。
 すると子ども達から
「先生、真ん中には何が入るの」
という声がでました。先生は「誰だうね。」と尋ねると、
「真ん中にぼくたちがはいるんじゃないの。たくさんの家族に支えられているものね。」
と。いろいろな人に支えられていることに気付きました。
 自分たちで気づいていくのです。先生が、どうかかわるか、どう黒板を構成するかだと思います。どんなふうに構成するのか、イメージし、プレゼンとなるような板書をするのです。
 

 おもちゃ作りの例ですが、風車を作りました。
 「回り方が違う」
 「段ボールの厚さが違うからかな」
 「作り具合のせいかもしれない」
 「風を受けるところが広いから」
 「折り方がふんわりとしている」
 「すきまがあいていない方が風が当たる」
 「あいていると風が逃げる。風が通らない方が回る」
 先生は、紹介の場面で、2人並んで「回してみて」と促しました。「2つの風車のまわり方が違う。」と出てきたのです。
 子どもたちに比べなさいというのではなく、比べたくなるような条件を作り出していくのです。まさに教師の腕です。先生がわかっているから、巧です。比較することが誘われているのです。思考をはっきりできる力が求められるのです。
 さらに、ここでは、子どもたちは、原因も考えています。最後には因果関係まで出てきて、話し合いが高まっていきます。
 横浜の小学校では、イボバッタを飼育しました。
 「イボバッタは、ぼくにバイバイします」
 「うちのバッタは、おなかに骨みたいのがあります」
 「キリギリスは口が赤かった」
 「ぼくのバッタの口にとげがあります」
 二番目の「おなかに骨」という形、三番目の「口は赤」という色彩の発言があったからこそ「ぼくのバッタの口にとげがあります。」という四番目の子の形状の発言が出てきています。
 これは偶然ではありません。学び合っていく中で生まれてきたのです。
 では、何で出てきたのでしょうか。偶然ではありません。
 言葉は瞬時に消えてしまいます。普通、子どもの発言は消えてしまいます。残りません。教師力です。

 先生が、キーワードを次の思考につなげていくために子どもの情報を黒板に残していたのです。
 豊かな体験をすると、いい表現が生まれます。なぜそうなったか、クリアにするのです。すると期待する表現が生まれます。思考が出てきます。そこに板書で情報が残っていると、気付きの質が高まります。思考もはっきりされるのです。
 
 秋田市の小学校では、「町たんけん」の学習が行われていました。意図的に仕組まれていることがありました。授業では「町たんけん」の様子について、グループごとに自分たちのたんけんの様子をまとめていました。クイズ形式になっていたり、それぞれユニークなものでした。
 授業の終わりの方で、先生がグループごとの地図を中央に集めて、一つの地図にしました。
 「このマークがみんなのをあわせるととても多かったなと思いました。」
 「ぜんぶあわせるとこんなに広いんだなと思いました。」
 「ぜんぶつなげたら はっけんしたことが こんなにあって びっくりしました」
 「ちずが合体して一つのちずになるんだんて思あなかったです。」
 「山工米こく(ぼくの家)近くにゆうほどうが2つあるのはしつていたけど、左のゆうほどうは青コースにつながっていたのだといるんだとしりました。」
 「つなげて長くなった時にびっくりしました。しらないお店もいっぱいあつたからいってみたいです。」
 自分の見えていたマップの世界が広くなりました。子どもたちからは大歓声。「アレー」「大発見」「ここはこことつながっていたんだ」などと新たな発見が広がりました。空間認識が広がりました。
 そして、「行ってみたい。」と学習意欲が喚起されます。学びに向かう力が、より確かになっていきます。三つバラバラではなく、一体になっているのです。
 評価の観点ですが、生活科は変わりません。三観点です。
 ここにペットボトルがあります。三方向から見ても、個別バラバラではありません。一体です。
 単元では、あっち、こっちというのがあります。
 手ごたえが大事です。気付きの質の高まりが大事です。つながるという感覚。事実で個別的な知識が、概念的で構造的な知識に変わるということが大事だということです。
 キーワードは、つなぐ、つなげる、つながる ということです。
 ある中学校では、進化について学んでいました。人に一番近いのは、チンパンジーか、オラウータンか、ゴリラか、探っていました。
 生物学の歴史から、三つの視点①頭骨の特徴➁脳の容量➂遺伝子から考えて、どうなのかという授業でした。
「私はチンパンジーだと思う。」
「人間に近いのは、オラウータンだと思う。だって頭の形や大きさが人間に近いから。」
 先生は、淡々と授業を進めました。
 『体重に対して、脳の割合の大きなチンパンジーがヒトに近縁で、遺伝子の配列では12%程度の違いがある。』とまとめられました。
 生徒の振り返りを見てみると、深い感じではありませんでした。そこで聞いてみました。
「どうだった?」
「オラウータンよりチンパンジーが近いことに納得した。」
「どうして?」
「えっと。えっと。」
「自分の感覚だけではなくて、誰もがわかる数字で示されたから。」
「脳の割合だけでなく、遺伝子などいくつかの理由があったから。」
「骨格のこと、割合のこと、遺伝子のことと、順番に学んだからよくわかった。」
「振り返ってどうだった?」
「丁寧に振り返ったら、先生のまとめが納得になった。」
「理解が深まった。」
「理解が深まるってどういうこと?」
「深まった?ん?」
「そうだ。脳の重さの割合は、きっと遺伝子で決まるんだと思う。学んだことの関係に気づくことができた。それが深い理解ってことか。
 関係性が見えてくると楽しい。印象に残るし、テンションが上がる。きっと人にも自信をもって説明できそう。自分の言葉で話せそう。」
「私は、最初見た目で考えていた。でも数値や複数の根拠が大事と分かった。何処がわかっていなかったか、自分の予想の仕方をどう直せばよいか、今度はどう考えれればよいか、はっきりした。」
「どんな感じ?」
「すっきり!」
「ああ、そうか!」
「なるほどって感じ。」と。
 対話によるやり取りで、熟考したのです。3つのことが関係していることもわかってきました。
 深い学びは、快適、心地よいものだと言うのです。やってみようという感覚になるのです。

 高校で、 「エネルギー変換に関する技術」の授業を参観しました。
「どう?」
「何か変なんですよね。変換効率が二倍の班があるのですが、僕らはほとんど変わらなくて、僕も二倍と予想していて、おかしい。」
「元々のエネルギーも二倍なんだよね。」
「あっ、なるほど」
「重りも二倍だから、音や熱もきっと二倍になっていて、だから変換効率が42%から43%って悪くないかもしれない。」
「音も大きくなったしね。」
「電気エネルギーだけでなく、音エネルギーや熱エネルギーも大きくなったはず。ひっくるめて考えるといいことが分かった。一方が二倍、参拝になるともう一方も二倍、三倍になる。これまでの理科の学習と関係がある。オームの法則とか、天秤とか・・・。」
「理科の概念が分かった。」
 科学的な考え方が、ここでもあそこでもつながったのです。コアとなる概念を教えないと言えないと思いますが、つながっていくのです。

 別の学校で体育の授業を参観しました。柔道の授業で、「内股」のコツについて学んでいました。
彼は吹奏楽部だといいます。腕、足、間合い、踏み込みについて学びました。
 授業が終わった後、「一番大切なことはどれ」と聞いてみました。彼は悩み始めました。
 「バラバラに学んだことがまとまった。頭の中でピースが組み合わさった。」
 「気持ちがいい。適当ではなくて、きっちりきれいに投げることができそう。」
 四つに分けていたものを関連付けて答えてくれました。つなげるということが大事なのです。
 「深い学び」とは、生活科の気付きの質を高めることをイメージできると思います。
 「主体的・対話的で深い学び」にたどり着かないといけません。
 知識・技能が相互につながります。空間・時間もです。
 思考力・判断力・表現力等が場面や状況とつながります。
 学びに向かう力・人間性等については、成果がポジティブさ、手応え(感覚)、学習の目的や方向とつながるのです。
 知識や理解が生きて働くようにし、思考力・判断力・表現力が未知の状況でも活用できるようにし、学びを人世や社会に生かすのです。
 深い学びをいかにクリアーにしていくか、生活科の気付きの質の高まりがヒントとなります。
 深い学びをイメージできると、子供の姿を見とることができます。すると、評価もできます。そうすると実現の可能性が高まるのです。
 
 これまでも示されていますが、関連づけるということです、考え・・・国語系、問題解決・・・理科・社会、構想・・・図工などです。確かなイメージができると、見とれるのです。
 カリキュラムマネジメントと授業改善という二つのアプローチが大切なのです。