フィンランドの教育視察から
帝京大学教職大学院 矢野英雄 
 昨年、フィンランドに教育視察しました。今回は、特に調べることをせずに、出かけました。
 今日は、見てきたことについてお話したいと思います。
 さてフィンランドの面積は、日本の90%位。大きい国ではありません。日本のことをどのように見ているかというと、OECDでPISA学力が高いと見ていていて、隣国だと思っています。人口は544万人。少子高齢化が進んでいます。
 日本の人口は、1億数千万、少子高齢化が進んでいます。日本の状況よりも危機的です。日本がどのように対応していくか注視しています。
 首都はヘルシンキにあります。公用語はフィンランド語とスウェーデン語を使っています。
 宗教は、穏やかな宗教のルーテル派教会です。政治は一院制を取っています。税金を無駄遣いしないようにしています。
 フィンランドで感じたことがあります。社会全体が人間を信じている感じがします。
 駅には改札口もありません。検察にも来ません。路面電車も同じです。無賃乗車を心配する人がいるかも知れませんが、2〜3人のために設備投資するのはもったいないといいます。物を大切にする社会です。使わなくなったものは、みんなに使ってもらおうとするのです。
 保育園の園庭には、岩がそのままあります。日本ですと、危険なものは取り除いてしまいますが、岩が先にあったといいます。岩があっても遊べる子を育てるといいます。子どもの成長にとっていいことはと考えて教育をしています。日本のような教育をしていて大丈夫かといわれました。
 また、自己責任ということを大事にしています。これは、学校のお昼のバイキングの時の私のとってきたものですが、隣では、お肉だけをたくさんとっていた子がいました。
 学校では、お肉だけでなく、野菜も食べることを指導しています。どれをとるかというのは自己責任なのです。
 政治かもクリーンです。学校を案内してくれた副校長先生が4時以降ボランティアで市議会議員として活動しているそうです。
 フィンランドは、1155年にスウェーデンの一部になってしまいました。1809年スウェーデンがロシアに割譲し、ロシア領になってしまいました。
 1917年、日露戦争のあと、ロシアから独立し共和国になることができました。その意味では、日本に感謝しています。
 その後、ソ連と長い間戦争状態にありました。
 学校教育は個人の利益を守り、よりよい社会的地位を得るためだけでなく、社会的責任を教えるためのものとして実施されています。つまり、よりよい社会人として税を納める人を育てることにつながっています。納税について、日本ではとられるといいます。収めるといわないといけないと思います。
 そして基本的な姿勢として、三点挙げられます。
 まず家庭、家族を大切にすることです。そして、子どもの成長にとって「何が大切なのか」を考えることです。
 自分の家庭がきちんとできずに他の人の家庭が大事にできるかといいます。
 教師は「国民のろうそく」と呼ばれ、「暗闇を照らし、人々を導く」存在として、尊敬されています。
 そして、学校制度としては次のようになっています。
 六歳までの保育園は有料です。そして、幼稚園とそれに続く九年間一貫制のの基礎学校があります。
 基礎学校3年生から英語が始まり、4年生から理科が始まります。 16歳で卒業になりますが、九年間の基礎学校だけでは不十分な場合、10年学校も用意されています。
 16歳以降は、高等学校か職業学校に入ります。頭がいいとか悪いとかではありません。自分の選択です。
 途中で進路変更もできます。その後、大学・大学院、専門大学へと進むこともできます。それらは基本的には全て無償です。 
 これらのことをまとめると、フィンランドの教育は、学費は無料です。義務教育も中等教育も高等教育も全てです。そして外国籍の子弟でも無料なのです。
 子どもの成長にとっていいことは何かと考えて教育します。
 いつも学び直しができるようになっています。つまり生涯学習制度が充実しているのです。
 教師の質も高く、全員大学院を出ています。また、教師の学びを保障しています。カリキュラムマネジメントができるように支援しているのです。
 最終的には、国家も国も責任感のある社会人の育成をめざしているのです。