26.2.17
横須賀市児童指導担当者研修講座
横須賀市教育研究所
1、挨拶 
   横須賀市教育委員会より
        横須賀市教育委員会 佐埜指導主事
    
   校長会顧問より 
        横須賀市立夏島小学校 小川 校長
2、諸連絡
        横須賀市教育委員会 松﨑指導主事 
3、研修
   「元気な学校づくり」
    ○児童指導の手引きについて
    ○授業のユニバーサルデザイン化について
        横須賀市教育委員会 佐埜指導主事
 ここから、ユニバーサルデザインについてのお話したいと思います。そもそもユニバーサルデザインとは、支援の必要な人にとってはないと困る、他の人にとってはあると便利なものです。
 授業のユニバーサルデザイン化とは、—「特別な支援が必要な子どもには“ないと困る”支援であり、どの子どもにも“あると便利”な支援を少しでも増やす」ことです。

 —発達障害の有無に関わらず、クラスの中のすべての子どもにとって分かりやすい対応を工夫してみること。
 —教室には多様な子どもがいますが、すべての子にとって、参加しやすい学校を作り、分かりやすい授業をすること。
 これが大事です。
 そしてそれが、全ての子どもたちにとって過ごしやすい環境になり、楽しくわかる授業で子どもたちは元気になり、問題行動も減り、元気な学校につながっていくのだと思います。

 日常生活で心がけることとしては、
  ①教室の環境整備
  ②注目させてから指示を出す 
  ③望ましい発言や行動に、賞賛と肯定の言葉をかける
  ④質問での追い込みを避ける
  ⑤具体的な言葉で話す

ということです。

 具体的には・・・例えば①教室の環境整備では、黒板周り。必要な掲示物のみを貼る。下駄箱での靴の入れ方やロッカーのかばんの入れ方。傘の入れ方などを示す。教室内の整理整頓(机の整頓、ゴミが落ちていない等)は、基本的なことといえます。
 ②注目させてから指示を出すでは、私語と作業をやめさせてから指示を出すことです。基本は1指示1動作です。

 ③望ましい発言や行動に、賞賛と肯定の言葉をかけるでは、どの行動がよいのかわかるように、賞賛と肯定で示す。あれだめこれだめのマイナスのシャワーでなく、プラスのシャワーが大事です。

 ④質問での追い込みを避けるとは、「今、何をする時間だと思っているの」などという言い方を避けるということです。

 ⑤具体的な言葉で話すは、「ちょっと待って」というのではなく、「3分待って」という言い方をしたりします。その他、声のトーンや何度も繰り返さないことも含めて、教師の言葉遣いも気にしないといけないと思います。
 

 教室の前の黒板周りには掲示物がなく、右側のサイド黒板に必要な掲示物を貼り出しています。また、必要なとき以外はカーテンを閉めることをしています。このような工夫が大事です。

、各自のロッカーに荷物の入れ方を示した図と実際の様子です。どこに何を入れてあるかが一目瞭然です。また、次の人が使いやすいように雑巾を整然と干しています。
 落し物が減り、衛生的である。物を大切にしようとする心が育っていきます。また、ゴミ箱ですが、色別に分別していてゴミを捨てる際にわかりやすくなっています。

 清掃場所近くに清掃の仕方を貼り、担当生徒が変わっても清掃のやり方をみながらできる。やり方の徹底にもつながります。また下駄箱・傘立てを絵で表示して、整理整頓しやすくするなどの工夫も大事です。

 机がガタガタになってしまうことを、床に印をつけることで整頓しやすくしています。掃除用具入れも、何本あるか、こんなふうにしまうのを写真で示すことで整理しやすくなります。
 このような工夫をしていくと、子どもたちがきちんと自分たちでできることが増え、先生の注意も少なくなってみんなご機嫌に過ごせます。
 

 授業の中では・・・次のようなことがあげられます。

 ①まずは目標を明確にすることです。今日の授業のめあての確認をします。内容や展開によっては、明示しないこともあるかもしれませんが、書かなくても、先生は何を学ばせたいのか、どんな力をつけさせたいのか。子どもは、何を学ぶのか、何ができるようにならなくちゃいけないのかを分かっていることが大事です。それがはっきりしていれば、「できた」、「わかった」の評価も明確になります。先生も子ども達もです。

 ②流れを予告することです。それにより、見通しを持つことができ集中を維持できる・不安が軽減します。いったいどこまでやればいいのか、今どのあたりなのか、分かった方がみんな安心です。

 ③時間を守る。みんな安心です。

 ④一人調べ、隣同士、グループ、机・席の向きなどを工夫し、学習活動に応じた学習形態を取り入れるということです。学び合いの活用により、仲間の力を得たり・多様な学び方を交流することができます。

 個別であったり、グループ代表であったり、多様な表現方法が大事です。

 ゲーム的な要素を取り入れるなど、授業中に作業・動作を取り入れることです。
 今日1日の時間割が分かるようにすることです。また、この1時間の流れがわかり見通しを持って取り組めるようにするといいと思います。
 また、終わりの時間や次にやることが書いてあるので自分で解決できるようになります。それは、自分のペースで取り組めるということです。先生は、その間、机間巡視・指導ができます。
 

 授業の流れを示しすといいと思います。また、発言の仕方のマニュアル化によって発言の仕方をわかりやすく表示してあります。さらに、学級で使う物の置き場所を決めておいてあります。決まっていないと曖昧になり、どこに戻せばよいのかわからなくなってしまいます。
 

次に、視覚情報の活用についてですが、次のようなことが大事です。 

 ①板書に視覚的手がかりを用いる
 ②板書や提示教材と、ノート・プリントを連動させる
 ③見させて、読ませてから、書かせる
 ④文字の大きさ、色チョークの活用、囲みや下線、矢印、記号など約束を決めておく

ということです。具体的には、板書では、授業後に黒板を見た時、45分の流れが見えるようにすることです。つまり書いたものを消さないということです。それには板書計画が大事になります。
 おはじきやブロックなどの半具体物の操作、挿絵やイラストの活用、キーワードの掲示なども大事なポイントになります。

 ワークシートやノートを拡大したり、マス目黒板を使ってみたりすることも効果的です。ただ、子どもの実態にもよりますが、視覚支援がなくても学んでいける力を育てることも必要になります。

 そして先ほども話しましたが、指示して行動させることは、一つずつです。

 さらに、板書は白、黄色が見やすいと言われます。いずれにしても、見えない物を見えるように見える化していくことがポイントです。

 スライドを見てください。板書の工夫・・・色の使い方を示しています。

 ①ページ、単元名、授業の内容がわかるように   
 ②問題はいつも同じ場所、単語の切れ目に配慮し、読みやすくする   
 ③問題、式など順序立てて書く、項目ごとに枠をつける。 
 ④ワークシートの活用で、視写する力に応じて書き写す量を調節する配慮する。
 書くことの負担を減らすことも大事です。

 たとえば、漢字に振り仮名を入れる、スラッシュを入れる、読みやすい大きな字と行間、読みやすい文字の方向(縦書き・横書き)を考えるなどです。、
 教材の工夫も必要です。
 ①プリント教材を活用し「書く」負担を減らす
 ②複数の教材(ヒントカード・習熟度別)を用意する
 ③課題を小分けにする
 ④小黒板、拡大コピー、PCや実物投影機などを活用するなどです。
視覚、聴覚、運動覚的な手立てを工夫することです。
 
 子どもに徹底させたいこと(学習のルール)も大事です。
 ①手を挙げてから話す
 ②場に応じた声の大きさで話す
 ③聞いてほしい人を見て発表する
 ④話す人の方を見て聴く

などです。
 ルールをクラスで確認し、教師も子どももルールに則って生活していく姿勢を正す、ノートは机に対してまっすぐ置く等も基本的なことです。徹底させればみんな安心して学べます。ユニバーサルデザインをすすめるにあたっては、安心して学べる学級集団づくりは絶対かかせません。
 
 次は、指示・発問・説明についてです。
 ①説明・指示を簡潔にする。
 ②指示を出した後、理解したか全体の様子を確認する。
指示に対して、ひとりひとりの理解を意識する。これは、行動させて確認するといいです。例えば、立って読ませて終わったら座らせるとか。それで、できたらOKのサインを出すとかです。
 ③ほめる時は大きな声で、個別指導は小さな声で
 ④支援の求め方を教える。例えば、手を挙げて合図するのか。HELPカードを机の右上に置くのか。
 ⑤話し方、意思表示のパターンを示す。
 ⑥話を聞く、板書を写すなど時間を保障し、活動は一つずつです。

 ユニバーサルデザインの授業は、みんながわかったできたを味わうことができる授業です。でもそれは、簡単なことをやるとか、目標を下げるということではありません。ユニバーサルデザインの授業は、質の高い良い授業のことです。
 よい授業とは、

 ○目標が明確である。
 ○目標の内容に価値がある。
 ○活動内容が合理的に配列されている。
 ○子どものつまずきが具体的に予測されている。
 ○つまずきを乗り越えさせる工夫・準備がされている。
 ○目標が実現できたかどうかが明確である
 

 授業とは向上的変容をめざすものでなければならないのです。教師は授業が勝負です。子ども達だけでなく、私達自身も向上的変容をめざし、研鑽を積んでいかなければならないと思います。